仙台牛タンツーリング(前編)

6月1日~2日は、kurokiの嫁が大阪の友達の結婚式に出席するため、2日間フリーになる。
ということは、つまり、久々のお泊まりツーリングのチャーンス!

そこで、当サイトの常連さんのtatuyaさん、ヒロッチさんとツーリングに行くことを思い立った。
彼らは共に仙台在住なので、この機会を逃しては、一緒に走ることはいつの日になるかわからない。
tatuyaさんには、先日のTRX-MLライコオフに来て頂いた「借り」もあるし。

今度はこちらから出向いてみようと考え、例によって、ツーリング好きのIidaさんに声をかける。当然、Iidaさんの返事はOK。
さらに、TRX-MLのari@新潟さんも、6月1日だけ参加を表明してくださった。

さてさて、楽しみになってきたぞ。

雨の予報に怯える

ここ久しく、日帰りツーリングしかしたことがないkuroki。
日帰りは雨天中止も容易だが、宿を予約するお泊まりツーリングでは、日程の変更は難しい。
晴れてくれるのを、ただただ祈るしかない。

聞くところによると、Iidaさんはかなりの雨男らしい。
仙台までの長丁場、しかも両日とも雨だったりしては、楽しいツーリングも辛いだけの「苦行」となり得る。
天気予報を見ながら、一喜一憂する日々が続く。

ツーリング開始

ツーリングの当日を迎えた。
午前4時。起床したkurokiは部屋のカーテンを開けるが、まだ空は暗い。
午前6時の集合時間に間に合うよう、東北道佐野SAへ向かう。

天気は何とか持ち直したようで、栃木県で夕立が降る以外は、他はおおむね晴れという予想。
どんよりとした雲の合間に見える青白い空が、期待感を高揚させる。


集合時刻の20分前、佐野SAでIidaさんと合流。
しばし談笑した後、全体の集合場所である、磐越道磐梯河東ICへ向かう。
雨にも降られず、渋滞もなく、極めて順調に走行する。


午前9時、磐梯河東ICにて全員合流した。5台のTRXが揃った(五十音順)。

  • ariさん
  • Iidaさん
  • tatuyaさん
  • ヒロッチさん
  • kuroki

天気は快晴。まるで初夏を思わせる陽気だ。
雨上がりなので、湿気は多いんだけどね。

挨拶を済ませた後、磐梯山ゴールドラインへ向かう。
お待ちかねの、峠道だ!

磐梯山のワインディングロード

tatuyaさんを先頭に、ゴールドラインを、ほどほどのペースで駆け抜ける。
ちょっと狭くてバンピーな路面だが、景色は抜群。気分が最高にのってくる。

ゴールドラインを抜けて、檜原湖湖畔の道をのんびりペースで流し、2つ目の峠道、西吾妻スカイバレーへ入る。
今度は、kurokiが先頭だ。道が広く、中低速コーナー中心のスカイバレーは、まさにkuroki好みの峠道だ。
やや大きめにリーンインの体勢を取り、鈍っていたリズムを、徐々に取り戻していく。少しペースも上げてみる。
ヒロッチさんには煽られっぱなしだったが(苦笑)、とても気分の良い走りを楽しめた。


驚くべきコトに、頂上の駐車場まで1台も車やバイクと出会うことがなかった。
つまり、この極上のワインディングを貸し切っていたとは。
何という贅沢。

しかも、高原のキリっと締まった空気と、この天気。
最高じゃないですか!

そばの店 ひらま

思いっきり走った後は、少々お腹が減ってきた。
そこで、tatuyaさんオススメの、米沢のラーメン屋へ向かうことになった。


やや混雑した米沢市内を抜け、12時ちょい前にラーメン屋「そばの店 ひらま」に到着。
5人とも、スタンダードな醤油ベースの中華そばを頼む。


程なくして運ばれてきたラーメンは、さっぱりとしている割に深みのあるスープが、程良くちぢれた麺と絶妙にマッチする。

旨い。

スープの最後の一滴まで残らず飲み干して、舌鼓を打つ。
一行は、満足げな表情を浮かべるのだった。

山寺

米沢から山形の山寺へと向かう。
国道13号は単調な道だ。車と一緒にちんたら流れるしかない。
我々の朝は早く、先ほどのラーメンでお腹が一杯だ。つまり‥‥めっちゃ眠いのだ!

シールドを開けてみたり、スタンディングポジションを取ってみたり、大声で歌ってみたりして、まとわりつく眠気を必死で振り払う。
しかし、努力はいつまでも続かない。ちょっとウトウトしてしまったヒロッチさんが、トラックと正面衝突しそうになったのだ。
これ以上走行を続けるのはキケンだ。Iidaさんの提案で、コンビニへと避難する。

小休止の後、山形バイパスに入った我々は、異様な光景を目にする。
道路の両脇は、警官の山、山、山‥‥。白バイもあちこち走り回っている。

なんなんだ、これは?

しばらく走っていたら、謎が解けた。
天皇陛下が山形を訪問するってことを、垂れ幕が教えてくれた。

幸い、目的地は山寺ではないらしい(後で聞いたら、山寺の近くのリハビリセンターに訪問したそうだ)。
下手を踏んだら、パレードに出くわして、余計な足止め食らうところだった。


気温30度。うだるような暑さの中、山寺に到着した。
山深い山寺は、到着するまでハードな峠道が続くと思いこんでいたのだが、さにあらず。山形市街地からのルートは、退屈なもんだった(逆に仙台に抜ける道はハードな林道のようで)。


革パンとブーツで登る石段は、股との摩擦の影響で、かなりキツい。
重たい足かせが付けられてるみたいだ。


息を切らせながら、一歩一歩石段を登っていく。
風が通らない上湿気も多く、汗だくだくになる。


うっそうと茂った山道が、急に開ける。
ついた!展望台だ!
本当に気持ちいい景色だ。山を渡ってくる風が、心地良く頬を撫でる。
登る途中は後悔していたけど、この景色見たら、そんなの吹き飛んだ!

閑さや岩にしみ入る蝉の声

遙か江戸の昔、松尾芭蕉が詠んだ句に思いを馳せてみる。

今回の山寺行きは、実はkurokiが希望したのだ。
照れくさい昔話を白状すると、山寺はかつてkurokiが付き合っていた彼女と来た、想い出の地だったりして(※今の嫁ではありません)。

10年近く前になるだろうか。
台風による影響で、JR仙石線が仙台-松島までの運行になってしまった翌日に、山寺を訪れた。
台風一過の青空の下、山寺の長い長い石段を登った。降りてきたら、もう膝はガクガク。休憩のために、辺り一帯にある蕎麦屋に入ろうとしたら、やたら陽気なバイク乗りたちがそこにいた。
当時のkurokiは、バイクに対して全く無関心だったが、楽しそうな彼らの光景が、妙に心に焼き付いたのだ。

そして今、kurokiはバイク乗りになっている。
もう一度この地を訪れて、あのときの彼らの側に立ってみたかった。
今の自分自身の立ち位置を、改めて確認してみたいと思ったのだ。


今来た石段を降りきったところに、風流な流し蕎麦の店「たていし」があった。
この店だ!あのときのバイク乗り達がいた店は。あの時は満員で入れなかったんだよなあ。


蕎麦が流れてきた。楽しいね、こういう演出。
蕎麦自体の味はまあまあだったけど、井戸水がちょっと甘くて旨い。

「こちら側」に立ってみて、今改めて思う。
バイクの旅って、やっぱり楽しいよ。
お気楽な電車や自動車の旅に比べてしんどい面も多いけど、その分自由だし感激もひとしおなんだ。

蔵王のお釜

山寺を後にした一行は、蔵王のお釜を目指す。
途中、新潟へと戻るariさんに別れを告げ、tatuyaさん先導で峠道を駆け抜ける。

西蔵王高原ライン、蔵王ライン、蔵王エコーラインとツイスティな峠道を繋いでいく。
相変わらず、遅い車につかえることがほとんど無い。
気分良いペースで、ライディングを楽める。

tatuyaさんは、逆操舵を取り入れた、ぱくっと曲がるライディングスタイルだ。
向き変えの鋭さには、思わず感嘆させられる。
だが、目をつり上げるようなスピードではない。リズム重視の走りなので、初めての道でも気持ち良く引っ張ってもらえる。
さすがベテラン、余裕のある危なげない走りだ。しかも速い‥‥。

ヒロッチさんは、思い切り良くコーナーに突っ込んでいく、若さほとばしるスタイルだ。ビビり入っているkurokiには、とてもマネできない(汗)。
フォームはリーンウィズのままだが、あのペースで走れるとは、いいセンスしていると思う。
サーキットなどでキチンとレッスンを受ければ、めきめき上達しそうだ。

Iidaさんは、マイペースを守った走り。
高速道路のハイペース走行には、付いていくのが大変だったのだが。


ガンガン峠を走ったところで、お釜に到着した。
お釜行きは、Iidaさんのリクエストだ。
なんでも、一昨年、昨年とも、雨やガスでお釜を見られずじまいだったそうだ。
今度こそはとリベンジをかけたワケだが、雨雲に勝ったと喜んだのも束の間、下界から厚いガスが駆け上がって来る。
恐るべし、雨男パワー。


間一髪、お釜をファインダーに収め、ぱちり。
Iidaさん3年越しのリベンジ達成!遂に晴れたお釜を見ることに成功した。
ちなみに、山裾から迫り来る怪しげなガスは、「Iida雲」と命名された(笑)。

そして一行は、仙台の道中庵YHへと急ぐのだった。

道中庵YH

午後7時、「道中庵YH」に到着した。
手早くチェックインと身支度を済ませ、タクシーを拾って仙台市内の牛タン専門店「伊達の牛たん 広瀬通り店」へと向かう。
午後8時の予約時間に滑り込みセーフ。


さあさあさあ!
牛タン様と生ビールで乾杯だ!

ああ、旨い。
めちゃめちゃ旨い‥‥。
「仙台まで来て良かった」と思いながら、ごくりごくりと生ビールを飲み干すのだった。


炭火であぶった笹カマボコも旨い。


シメは麦飯とテールスープ。もう、たまらんのう!

いい感じに出来上がった一行は、道中庵YHに戻ると、間もなく眠りへ落ちていくのだ。