念願のオールペイントを施すため、横浜の塗装ショップ、プロフィットにTRXを持ち込んだ。
オールペイントは、kurokiの長年の夢だった。
kurokiがTRXを購入した98年は、提供されているボディカラーは赤、青、黒の3色しかなかった。
昨年の97年には、カラーオーダーという期間限定のプログラムがあり、豊富なカラーバリエーションから選択できたのだが、次の年にはたった3色という落差‥‥。
結局、消極的な選択で黒を選んだワケだが、心の奥底で小さな不満をくすぶらせることになる。
シルバーのTRXに目が釘付けに
オールペイントしたい!とハッキリ思ったのは、こばまんさんのTRXを見た時だ。
美しくシルバーにペイントされたボディが、kurokiのハートを直撃した。
しかし、オールペイントの相場は安くても15万。気持ちが萎えるのに、さして時間はかからなかった。
時は流れ、2002年の8月末。
KAMEPON@SRXさんに、激安塗装団というサイトを紹介していただいた。
KAMEPONさん自身も、激安塗装団で塗装を行ったそうだが、仕上がりは十分満足いくモノだったという。
早速見積もり依頼のメールを出すと、帰ってきた金額は何と5万円強!
この金額に衝撃を受けたkurokiは、念願のオールペイント計画を始動する。
だが、激安塗装団に作業を依頼するには、いくつかの前提をクリアする必要がある。
「近所にいる塗装の上手な兄さんに頼むレベル」が基本スタンスなので、塗装に入るまでの準備作業を自分で行う必要がある。
低料金には、何らかのワケがあるものだ。
kurokiにとって、これらの準備作業はかなり高い壁だった。
- カウルとタンクの脱着の問題
- kurokiの自宅前でやるには、ちと道具が足らないし、作業スペースもない。
- タンクから抜き取ったガソリンの扱いにも困る。
- 設備の整ったバイク屋で行えば楽だが、今度は外装をはぎ取られたTRXを1ヶ月近くバイク屋に預けることになる。
- カウルとタンクの梱包の問題
- 取り外したカウルやタンクを入れる段ボールを確保する必要がある。
- 特にあの重たいタンクをキチンと梱包するのは、考えただけでもダルい‥‥。
結局、悪友お~うちさんのツテで脱着等の作業を行う運びになったが、肝心の激安塗装団の方が手一杯で、依頼を受け付けられないという状態だった。
オールペイント計画は、暗礁に乗り上げてしまった。
2003年になり、激安塗装団が1月15日から塗装を受け付けるという情報を聞きつけた。
再びオールペイント計画が始動する。
Iidaさんに状況を相談すると、実はIidaさんもオールペイントを考えていたのだという。
なんでも、FZR1000のカウルを装着して、TRXをフルカウルにするんだそうだ(全くこの人は‥‥濃いなぁ)。
その時Iidaさんに紹介されたのが、今回塗装を依頼したプロフィットだった。
プロフィット
プロフィットのサイトを見たkurokiは、瞬く間に魅了されてしまった。
塗装に関するノウハウが、豊富かつ明快に説明されているサイトは他に類を見ない。
自らの塗装技術に対する自信の程が伺われる。
見積もりを依頼すると、カウルの脱着込みで10万円という金額が返ってきた。
技術と設備を有したプロの塗装屋の仕事にしては、とても安い金額だ。
本業の自動車板金塗装の合間に、趣味で行う仕事なので、この料金でも構わないのだという。
事前偵察に行ったIidaさんによると、実際設備もシッカリ整っていたそうだ。
そんなワケで、ふたつ返事で塗装を依頼した。
依頼内容
作業を依頼する際は、要望を明確にする必要がある。
曖昧な依頼では、作業者を困らせてしまうし、望む結果が返ってくる可能性も低くなる。
今回の塗装においても、仕事と同じ姿勢で臨んだ。
kurokiの場合、「シンプルで洗練された車体」がコンセプトとして、まずあった。
もっと詳細な項目に落とし込むと、
- 純正のイメージを生かす方向で仕上げる。
- 落ち着いた渋めの配色(ブラックに近いシルバーかネイビー)にする。
- 派手なグラデーションやパターンを用いず、単色で仕上げる。
- YAMAHAのロゴを、ステッカーではなく塗装で入れる。
- trx850.jpのロゴも、塗装で入れる。
実車を持ち込むまでの間、プロフィットの高畑さんとメールでやりとりを重ね、上記の項目を煮詰める。
配色については、非常に悩んだ。
当初はYZF-R1のシルバー3がイメージに浮かんだ。
でも、TRXのフレームやホイールが白なので、もう少し暗い色にした方がイイかもしれない。
となると、もう少し黒みがかった色がイイかな。XJR1300のシルバー3が、イメージに近いかも。
だけど、明るめのシルバーも捨てがたい。TRXらしい軽快感が表現できるし。
ウダウダ悩んだが、結局決めることが出来ず、当日相談した上で最終決定することにした。
trx850.jpのロゴは、先日購入したタンデムシートカバーに塗装しようと考えた。
タンデムシートカバーは取り外し可能なので、仮にTRXを売却するとしても問題が生じないからだ(取り外したタンデムシートカバーは、壁に飾っておけばイイ)。
しかし、マスキング用のカッティングシートの制約で、横幅を16cm以上にしなければ、小さい文字が潰れてしまうらしい。
横幅を16cm以上のロゴって、実際結構な大きさで、収まりが悪い。
かといって、斜めに配置するとヤンキー車だし(笑)。思い切って、リアカウルに入れてしまおうか?
これも結局決めることが出来ず、当日までに結論を持ち越した。
カラーリング決定
とても長い前置きになったが、ハナシはようやく「プロフィットにTRXを持ち込んだ」ところに戻る。
配色を決定するため、プロフィットの高畑さんに、ひとまずXJR1300のシルバー3でテストピースを作成して頂く。
結果は、想像以上に明るく、青みがかっていた。
思い描いていたイメージとズレがあったので、この色の採用は見送った。
次は、クルマ用の色見本帳から、イメージに近い色を探し出すことにした。
せっかくペイントするなら濃いめの色の方が面白みがある。ガラスフレークを微量混ぜれば、見る角度によって色の変化が楽しめ、かつ上品な落ち着きを醸し出せる。
この高畑さんのアドバイスに従って、ブラックに近いシルバーを探しているうちに、ふと気になる色を見つけ、色見本帳をめくる手がぱたっと止まった。
ミッドナイトブルー。SAABで1990年代に使用されていた配色とのこと。
以前、画像処理ソフトをいじって遊んでいたとき、黒のTRXにちょっと青みを入れてみたことがある。
しばらくサイトのタイトル画像に使っていたほど、気に入った配色だった。
ミッドナイトブルーなら、ひょっとして、あのときのイメージに近い仕上がりになるかもしれない。
早速テストピースを作成して頂く。
ん?
これは‥‥かなりイメージに近いかもしれない。
正面から見ると青みがかって見えるが、斜めから見ると黒に見える。
若干のガラスフレークを混ぜることで、とても面白い表情になる。
よし、気に入った。
この色に決定しよう!
ロゴ入れ決定
色が決まれば、今度はtrx850.jpのロゴだ。
実は、プロフィットに来る前に腹を決めていた。
リアカウルのTRXのロゴの代わりに、trx850.jpと入れてしまうのさ。
ある意味、廃車するまで乗るという、意思表示の表れでもある(入れ墨みたいだな‥‥)。
デカール類に関しては、次のようなオーダーとなった。
- フロントライト上部の音叉マークを取り去って、YAMAHAロゴの塗装を入れる。
- テールランプ上部のYAMAHAステッカーも、YAMAHAロゴの塗装にする。
- タンクのYAMAHAステッカーは、YZF-R1の音叉マークに変更する。
- リアカウルの左右にtrx850.jpの塗装を入れる。
まとめ
これだけやってもらって、料金は12万円ジャストとなった。
ガラスフレーク塗装は3コート塗装となるので、若干料金が割り増しとなったが、それでも安い。
品質の方は見てからのお楽しみだが、かなり期待できそうなので、今からワクワクしている。
ちなみに、プロフィットのサイトは反響を呼んでいて、現在9台のバイクが塗装を待っているそうだ。
思わず納得するkurokiなのだった。
この黒いTRXとも、今日でお別れと思うと、ちょっと感慨深い‥‥。